雪上訓練を開催しました
1月20日、雪上訓練を釧路近郊の斜面にて開催しました。
参加者の皆さんは、「道具は揃えたけど使い方が分からない」「どんな道具を買ったらよいか分からない」など様々です。
訓練内容は次の3点です。
- アイゼン歩行
- ピッケルによる滑落停止
- ビーコン操作
◆アイゼン歩行
アイゼンの種類は様々あり、登山靴の形状や登る山の斜面状況に合わせて選びます。
この写真「左」が10本爪のベルト式軽アイゼン(爪が短め)、「右」がワンタッチ式12本爪アイゼンです。
装着時は、かならず斜面上方に体を向けて装着します。
上からなにか落ちてこないか確認しましょう。
素手ではなくインナー手袋で装着できるよう練習しておくことが大切です。
アイゼンを装着しているときは、爪でズボンやスパッツの裾を引っ掛けないよう、足の幅はややワイドに歩きます。
爪を全て雪にグリップさせるため、雪面に足裏をフラットに置きます。
直登や直降時は、フラットに踏めるよう「ややガニ股気味」で腰を少し落とすようにします。
トラバースや斜め移動は山側(高い方)の足は進行方向、谷側の足(低い方)はガニ股に開くようにするとフラットに踏めます。
「普段使わない筋肉を使うので、筋肉痛になりそうだ」と参加者からの感想でした。
アイゼンは、取り扱いを誤ると転倒滑落の原因になります。安全な斜面で何度も練習するとよいでしょう。
◆ピッケルによる滑落停止
アイゼン歩行に必要不可欠なのがピッケルによる滑落停止です。
練習ではお尻に米袋を付けて滑りやすい状況にしました。
滑落したらすぐにうつ伏せになり、ピッケルを雪面に刺して一刻も早く制動します。
大切なのは、下の写真にあるように足を上げて、爪を雪面に引っ掛けないことです。
もし滑落時にアイゼンを雪面に引っ掛けてしまうと、体が弾き飛ばされ大変危険です。
滑落したら5メートル以内に停止できるように訓練します。
加速する前になんとしても停止させましょう。
◆ビーコン操作
ビーコンは雪崩に埋没してしまった人から発信される電波を受信して捜索するための道具です。
雪山に入るための三種の神器【ビーコン】【プローブ=ゾンデ棒】【スコップ】のうち、最も熟練が必要です。
ビーコン1台ですと練習ができません。参加者のみなさんは、持っていても使い方が分からない方がほとんどでした。仲間同士で練習することが必要です。
メーカーやモデルによって操作が異なりますので、自分の持っているビーコンの性能や限界を知り、操作に精通することが必要です。
今回は独りずつ納得がいくまで実際に埋めたビーコン捜索をしてみました。
雪崩に巻き込まれた人を最後に目視確認できた場所からビーコン捜索を開始します。
埋没者から発信される電波を受信するため、【捜索者全員が探索モード】に切り替えます。
電波は直線状ではなくカーブを描いて発信されるため、ビーコンが示す方角は必ずしも最短距離とは限りません。
主流のデジタルビーコン(方角と距離が表示されるタイプ)では、最初は方角がわかったら5歩進み、再び方角を調べ5歩進むことを繰り返しおおむね3m程度になるまで進みます。(誘導法)
3m程度まで近づいたら1m四方程度まで捜索範囲(ゾンデ棒で捜索する範囲)を特定するため、ビーコンを左右、前後に動かし電波の強弱(音や距離)で絞りこんでいきます。(直角法)
練習で「木の上」に隠してみたところ、特定までかなり時間がかかりました。
先入観にとらわれず、ありのままビーコンに従うことが大切だと改めて感じた次第です。
いざ山に入ってしまうと、現場でじっくりトレーニングすることはなかなかできないものです。
山に入ったら即実践に移せるよう、安全な場所で納得いくまで練習する機会を今後も重ねていきたいと考えています。
次回の定例山行は2月3日(日)フレベツ岳・白湯山です。山岳スキー、スノボード、スノーシューによるバリエーション豊かな山行スタイルになりそうです。
くしろ山岳会では新規会員を募集しています。
ご興味のある方は問い合わせフォームからぜひご連絡ください!見学も大歓迎です。