黒岳 白水川遡行報告

くしろ山岳会では、沢遡行もクライミング、ロープワーク訓練をしたうえで行っています。

報告は久しぶりにHP管理人です。

白水 地熱地帯

 

黒岳、白水川遡行は7.4キロ、標高差1330mで沢としてはロングコース。

到達地は黒岳石室で、下山はリフトとロープウェイです。

メンバーは2名と寂しいですが、同行者はカムエクなど日高の沢を知り尽くした大ベテランなので心強いものでした。

 

標高564m地点、出発は4:40分。

白水川遡行

白水川には1968年ごろ地熱発電が計画され、1996年に開発計画凍結された経緯があります。
前半は当時整備された林道を進みます。自然災害によって林道はひどく荒廃しており自然の力を感じながら進みます。

 

 

橋崩落

この比較的真新しい橋は1995年製ですが、地面がえぐられ穴が開いていました。30年もすると林道は山に還っていくのがよくわかります。

 

 

メロンの滝

1時間3キロで通称メロンの滝と呼ばれる枝沢の滝があります。ここまでは予定通りに進み、楽しいアドベンチャー気分でしたが、この先からは数々の試練が待ち構えておりました。

メロンの滝をすぎて入渓します。
川は温泉成分が混じり生暖かく白濁しています。
谷が狭まるところでは小規模な滝があり、滝の脇を擦り落ちないように進みます。

 

 

白水川小滝

沢靴のフェルト底は砂が付着すると滑りやすく、このようなシチュエーションでは難儀します。
足は滑りやすく手でつかむところも少なく、クライミングのホールドの力量が要求されました。

 

 

白水川地熱地帯1

標高1000mは地熱地帯となります。あちこちで湯気があがり温泉が湧き出ています。このような変化がロングコースでの救いです。

 

 

白水川 地熱 噴気

標高1090m地点には工場の煙突なみに水蒸気が噴出しています。地形図上の点線道路がここまでのびていますので地熱発電はここでやろうと検討されたと思われます。

 

 

白水川巨岩

地熱地帯を抜けると巨岩が目立ち始めます。
小規模な滝をパスするのに苦労します。

 

 

大滝

標高1350m地点、大滝は30mもの落差です。
ここまでくると地熱地帯をぬけているので水は冷たいです。
源頭は雪渓なので水温は0℃に近いものでした。沢靴とスパッツはネオプレーン製なので暖かいですが、万が一ドボンしてしまったら低体温症のリスクがあります。

大滝をパスした時点で標高1380m、5時間40分経過しました。すごく変化に富んでいて体感的には時間を感じさせません。

 

 

白水川 巨岩 沢

ここから先が巨岩地帯で長く感じました。
トムラウシ山の巨岩に沢がプラスされたような場所でした。

 

巨岩
源頭に近くなったら、濡れるのは低体温症の観点からご法度だそうです。
となると端の草付きを進むのですが、フェルト底の沢靴は滑りやすく悩みどころです。

 

 

傾斜がほぼ平になり源頭部に到着。

エゾコザクラ

凌雲岳と桂月岳すそ野を進みますが、ここは登山道のない高山植物地帯。踏みつけることは植生にダメージを与えますので
なるべく歩きづらくても沢の中を進みます。

 

 

石室

標高1880m、8時間40分で黒岳石室に到着しました。
同行者とは無事到着したことを喜びあうような長い長い行程でした。
何かアクシデントが起きれば救助まで1日はかかることを考え、絶対に事故は起こさないよう慎重に進めてきた結果です。

 

 

7合目

今回はリフトの最終運行時間17:30まで2時間の余裕がありましたが、遅れた場合は石室でフォーカストビバークも考慮して計画しました。

とにかく長かったです。
沢遡行は訓練を重ね、メンバー同士の信頼も大切だと思いました。
下山後は巨岩を乗り越えてきたため股関節に極度の疲労感があり、ホールドを駆使したため指に力が入らず下山届記入の際ペンが持てなかったことを追記しておきます。

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次回は沼の原経由ヒサゴ沼テント泊です。

 

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