神威岳 山行報告

日時 :2023.7.23(日)

参加者:4名

 登山口までのアクセスが困難かつ難度の高い山が集まる日高山脈ですが、それを身をもって体験する山行となりました。困難だったポイントを現地の状況や自分が感じていた事等を交えて報告します。

・困難1.登山口までの林道
 20km未舗装の林道を走行しました。道の凹凸は小さく基本的には走りやすかったですが、対向車とのすれ違いが厳しい場所がほとんどで見通しも悪い道でした。出会い頭の正面衝突を起こさぬよう緊張感を持って運転する場所が多々有りました。いくつか橋が架かっていて涼しげで澄んだ沢が下に見えるのが和みポイントで釣り客も時折見かけました。電波の届かない場所が長くパンクしたら悲惨な場所ですが、私はスペアタイヤを積んでいたのでまだ気持ちにゆとりを持てていました。

・困難2.藪漕ぎ

 沢区間での陸地の迂回路、尾根取りつきからの登りはほぼ全行程で背丈が1mを超えるような笹の中での藪漕ぎで、頂上付近ではハイマツが加わるという酷い状況でした。

登りでも下りでも足元が良く見えずルートを外れたり、ザックやハーネス等に枝葉が引っかかったり、ストックが役に立たなかったりと苦しい区間でした。先頭を行ったサブリーダーは更にマダニも付いてきて大変だったでしょう。イラクサが少なめだったのは不幸中の幸い。

私は眼鏡をかけていないので、笹や木の枝が鋭利に突き出している場所では目を突かないように常に気を付けていました。藪漕ぎ用にゴーグルを備えておこうと思いました。

・困難3.急坂

 北海道三大急登に数えられているという急坂は、藪で足元が見づらいのと湿っていたことで何度も転倒しました。前後を巻き込んだ滑落事故になる事は有りませんでしたが、足元に集中して前後の間隔に気が回らない事が多く、ヒヤリとする場面は有りました。

本来はストックでバランスを取りたいところでしたが、藪が邪魔してストックが使える場面が限られていたのも転倒を多くした原因の一つでした。

・トラブル案件

 下山中にYさんが腰を痛くしてしまい、その後背中と首も痛くなり歩くのがきつそうでした。最終的に他メンバーでYさんの荷物をシェアして持ち無事下山できましたが、もし歩行不能になっていた場合はどうなっただろうかと下山後に考えてみました。

付き添い一名と下山組二名に分かれ、下山組が電波の届くところに出て救助要請に行く方針に多分なる。電波の届かない20kmの林道が40分程時間を浪費させる。ヘリでは行けないような場所で救助隊も林道経由で駆けつけると予想。このあたりで日が暮れている可能性が高い。

その後暗い中での藪漕ぎと沢登りで救助完了は深夜、または日の出を待ってから救助開始という可能性すら有るのかも。山中で連絡取れない状況でのビバークは心細いものでしょう。

そういった自体を避けるために我々でできた事を振り返ると、腰だけが痛い段階で荷物シェアは可能だったのかなと思います。ただし多くの場合遠慮してそのまま頑張ってしまう事が多く、判断難しいですね。自分も遠慮して頑張ってしまいます。例えば痛みを訴えるメンバーがいて計画より遅れている場合は荷物シェア義務づける等、何か会でルールを決めておくと良いかもしれません。

・山行の「良い」思い出

 沢の水が澄んでいてきれいでした。水深浅めで川幅広め、大きめの岩が多く歩きやすい。沢だけだとしても楽しめる場所ではないかと思います。登りでは展望ポイントもちらほらと有り、急登なだけあって落差と迫力のある景色が見れました。登りの中盤では日高の稜線が見えたりもしました。頂上ではガスに覆われてしまい感動は半分以下でしたが・・・・。

散々苦労したあげく頂上でのご褒美も無く二度と来る事は無いだろうと当日は思っていたものの、こうして手つかずの自然に翻弄された事を自虐的に振り返るとなんだか楽しげな思い出に変わってしまうのが不思議なところ。同じ山かどうかは置いといて、今回の苦労を糧に充分な備えしてまた日高の山に藪漕ぎしに行くのは良いかもしれません。

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