三段山BC報告
メンバー:JT(リーダー、記録),Y(サブ),M,NT

十勝岳連峰三段山BC(バックカントリー)へ。スノーシュー班とは別行動計画。
メンバーのほとんどは最近スキー道具を先輩方から譲ってもらったばかりです。ただでさえ道具が多くなる冬山ですが、スキーが加わるので道具を手際よく使いこなすことも大切です。三段山(1748m)はその名の通り1段登って2段のぼってと階段状の地形となっています。登山口が標高1000ⅿほとで白銀荘もあることからこの時期大人気です。海外のかたも多く訪れていました。
①前日発覚したトラブル
前泊の夕食時にMさんがシールを忘れたことが発覚しました。シールとはスキーで登る際に滑走面に貼るものです。道具をいただいたばかりで楽しみにされていただけに痛恨のミスです。あきらめるのは早いと、皆で知恵をだし考えました。シールは板それぞれのカスタム品ですので予備などは使えません。結論は近くのホームセンターで冬長靴を購入し、登山口にある白銀荘でスノーシューをレンタル、板はザックに縛り付け、スキー靴は荷揚げすることになりました。前泊が麓の街中であったこと、登山口に白銀荘があることが幸いしました。先人の教え【山でなにかあったら、あるものを駆使してしのげ】まさにこれが試されました。失敗は人を成長させます、Mさんはシールを一生忘れることはないでしょう。
②最新鋭スキー金具がトラブル
6時登山開始。しばしばYさんのスキーが外れてしまう事が。最近の金具はテックビィンディングで最大の利点は軽量です。つま先とかかと側が分かれており真ん中部分がない部分軽いわけです。一方私の10年以上前のものは一体型で重いですが構造がシンプルで信頼性は抜群。Yさんの場合つま先のピン外れてしまい、都度装着しなおすのですが雪がはいってしまい、ブーツ穴とピンを合わせるのにコツが必要で苦労しました。そしてまた外れる繰り返し。結論は滑走モードの解放機構が作動していたためでした。気が付くまでロスした時間は30分以上。これでスノーシュー班に差をつけられBC班のほうが遅くなったという逆転現象が。譲ってもらった道具は熟知おきましょう。
③登りルート選択ミス
ルートファインディングはバリエーションルートの醍醐味ですが、2段目の急斜面に入り込んでしまい苦労しました。雪質との兼ね合いでシールが効かずこれで30分はロスしました。
スノーシュー班にさらに引き離されました。
④囚人の足につけた鉄球
NTさんは20年ほどまえにBCをはじめたものの、今回道具をようやく譲ってもらうことができ本格参戦。当時の感覚でいざ上ると板とブーツが重くもっと若いうちに道具をそろえるべきだったとのこと。女性は脚力の観点から足回りが重いということは大変だということでした。下山後談では、登りで電池を使い切ってしまったそう。

⑤15年越しの登頂
私は2010年に初めて三段山にいきましたが、冬型の気圧配置の影響を受けやすい場所であるため、毎回2段目を登ったところで強風、クラスト、視界不良で断念してきました。今回は冬型崩れた穏やかな天候。2段目より上は未開の地でしたが、風もなく頂上は暖かいくらい(気温-10度、無風)でした。三段山は十勝岳連峰からは少し離れ小島的で、十勝岳、上ホロカメットク山、上富良野岳、富良野岳のアリーナ席です。かつてない展望に感動してしまいました。

⑥岩による前転
シールをはがしいざ滑降ですが、ピーク付近は雪がついておらず岩が露出。それにスキーをひっかけてしまったNTさんは片スキーが外れ、ヘルメットを支点に前転したそう(Yさん談)。スキー場に転がっている小石を踏むのとは衝撃の次元が違ったそうです。ヘルメットには石の跡がついており、ヘルメットの重要性が改めて思い知らされました。

⑦滑降ルート
常に雪崩を警戒し沢地形をトラバースするときは一人ずつ上を見ながら横切りました。一方でほかグループはボウル状の沢地形を滑っていることが気になりました。雪が少ない尾根地形より、ボウル沢のほうが滑降が楽しいのは事実です。雪崩は沢地形を流下しやすくかつ雪が集まりやすく被害が大きくなります。1998年1月のニセコアンヌプリ雪崩事故事例(ガイド二名有罪)を教訓とすると沢地形滑るのは必要最低限にしたいと判断しました。

⑧まとめ
BCおよびスノーシュー班ともに冬山キックオフであったのでBC班のトラブルが多く発生しました。失敗を次に生かして安全登山に努めていきたいと改めて心が引き締める思いです。
シュー班は11時下山、BCは11時下山開始の12時下山でした。
まだ薄暗いなかでの出発でしたが、他様々な要因で時間がかかり、気が付けば周りはわらわらの人だかりの三段山でした。

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